TOP > 医師を志したのは・・・

医師を志したのは・・・


よく、「家は医者ですか?」と聞かれます。この質問にはいつも返答に困ります。
確かに私の父は医師でした。
しかしわたしがまだ5歳の時に他界してしまいました。

母は当時普通の主婦でした。
ですから、「医者の家」と聴かれれば「そうです」とも
「違います」とも答えられるのです。
わたしが医師を志したことが、
かすかな記憶にしかない父の影響を受けているかどうかは、
自分にも分かりません。

実は私は、ものごころがついた時から
獣医さんになりたかったのです。
小さい頃から犬を飼っていて、
動物が大好きだったからです。
高校二年生まで獣医を目指して勉強していました。 

でもある時、ふと思ったのです。
「動物は話せない。
ほんとうに動物が何をおもっているのかは、だれにもわからない。
コミュニケーションがとれない中で人間に何ができるのだろう。
もしかしたら、自己満になってしまうのでは・・・」と。

そんな疑問をもったときからわたしは、
きちんと話し合いのできる人間の医者になろう、
と急遽方向転換したのでした。
いま思えば、どこか本能的な部分で、
父の遺志を継いでいたのかもしれません・・・。